心を支えるもの

第60回の正倉院展の番組録画（NHKの日曜美術館）を見ました。敗戦直後の昭和21年、第１回正倉院展で、正倉院御物が初公開された時の映像も有りました。焼跡で何もかもが困難な中、大勢の人が押し寄せたとか。

惨めな灰色の世界で、美しいものがどれほど多くの人の心を支えた事でしょう。明日を生きようと思わせたでしょう。腹さえ満たせば済むものじゃあない。食べるものも無い中、市井の人々が何時間も列を作って1500年の美を見ようとした。それは其の証明でしょう。

今また日本中不景気で、多くが暮らしに汲々としています。世情も殺伐、一円でも分捕れるなら取ってやると言う手合いばかりですか。
背に腹は替えられないのは解る。私もローン抱えてますしね。でもでも、誇りは何処。こんな時勢だからこそ、気概を美意識を持ちたいじゃあないですか。件の２兆円は、何かまとまって人の心を支える物事に使えないのかしらね。例えば海外流出した日本の美術品をひとつでも買い戻すなんて、誰も思わないのかしら。ばらまかれるお金を持ち寄って。